「小児の冷え症なんて,いるのかしら?」と思う方も,いらっしゃると思います,実際,患者さんを診ていると,最近,子供の冷え症が多いのが,気になります.家でテレビゲームばかりしていて,外で遊ばないのが原因かもしれませんが,もう少し,違った原因もありそうです.現代医学の発達により,相当な低体重児の方でも,なんとか生きていけるようになってきました.私たちの体は,お母さんのお腹から出てくるとき,「体重」というエネルギーを授かります.これは,東洋医学的には先天のエネルギーと考えられ,「腎」という「エネルギータンク」に蓄えられています.低体重で生まれてきた方は,このエネルギーが極端に低いため,体を温める事ができません.人間の体は,全て酵素反応により動いているので,温度が低いと,全ての機能が低下状態となります.消化吸収能力も低く,食べても,吸収する力がないため,いつまでも痩せて,なかなか太れません.免疫機能も低いため,すぐに感染を起こしやすいのですが,ウイルスや細菌を排除するための発熱能力も体温が低いために,あまり発熱せず,このため,病原体を速やかに排除できずに,だらだらと感染状態が続きます.また,最近,天候が異常気象で,温かくなったり,寒くなったりが,突然おきてくる状態がままあります.このような,外気の温度変化は,体温が低い方には,非常なストレスとなります.このまま,大人になると,本人はとても,社会に出てから,苦労するはめになります.ぜひ,子供の内に,体の体温を上げる術を身につけさせてください.
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