「寒」と「温」の概念(その1)

「寒」と「温」の概念(その1)

遺伝子治療やクローニングまで突き詰めた現代医療において全く欠落している病態概念の1つが、この「寒」「温」の考え方です。現代治療法の中の整形外科領域や皮膚科領域で、わずかながら温めたり、冷やしたりする治療法が存在しますが、それ以外の領域では、特殊な場合を除いて(体を冷やすことで、臓器障害を食い止める治療法が、脳外科や心臓外科、移植外科領域では行われています)あまりお目にかかったことはありません。
医学部に入って、医者らしい勉強を始めるとき、「生化学」という生体の現象を化学現象で解明していく勉強をしますが、この中でも、まず始めにでてくる単元が、「酵素学」です。人間の生命維持現象は、ほぼ全て化学反応に依存しています。この化学反応の反応速度を調節するのが、「酵素」の働きとされ、この酵素の働きは、主として、反応が起こる温度により規定されています。簡単に言ってしまえば、つまるところ、温度によって全ての機能が調節されていると言っても過言ではありません。なので、体温がどの程度あるかは、その人の生命現象を主る最も重要な因子となります。この温度の概念は、東洋医学的には、西洋医学が始まる2000年以上前からすでに、寒と温という概念で、治療に組み込まれていました(続く)。

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