年末,経済状態も悪いことも重なってか,最近ストレスに伴う自律神経症状(一般的には不定愁訴とか,自律神経失調症とか言われているものです)を訴える患者さんが増えています。
西洋医学的なアプローチでは,眠たくなってしまうクスリを使って様子をみるのが一般的ですが,東洋医学的なアプローチでは,気分を高揚させたり,または,頭に昇った血を降ろしたりしながら,治療します。漢方薬での治療の効果を予測するために,先にまず針治療をこなって,東洋医学的な病態を確認することができるようになり,的確なクスリの選択が可能となりました。また,精神的な症状に対しては,鍼灸治療を併用することで,回復を早めることが可能となります。
不眠もこれと平行して,出現してくることがままあり,不眠の治療も併用しないと,症状が改善しないケースも多いようです。このような場合,単なる睡眠剤ではほとんんど解決にならず,原因となるストレスにアプローチをする必要があります。ただ,一番大事なことは,クスリで解決するのではなく,ほとんどの場合,食餌や嗜好品が原因で,そのような病態に陷っている方がほとんどなので,つまるところ,日常の生活の問題点を考えてみるのが,一番の早道かもしれません。
ストレスがかかって身動きできなくなってきたら,回りの人に一度,「ごめんなさい」をして,広げすぎた風呂敷を畳んでしまいましょう.自分がしっかりと自信を持ってできる最小限のことからまず,再出発してみてください.それができるようになってきたら,小さいブロックを積み上げるように,一つ一つ,確実に,仕事をこなしていってみてください.そのうちきっと,後ろを振り返れば,「あれ~,こんなにやったかな~?」という状態になりますよ.調子の悪いときは,しょうがないですから,些細な自尊心は捨てて,形振り構わず,周りの人に協力してもらいましょう.
最近,ストレス性の自律神経症状を訴えていらっしゃる患者さんが増えてきました.季節柄もありますが,「睡眠の浅さ」も,この症状の原因となります.夢をよく見る方,お昼ご飯を食べた後,眠たくなってしまう方は要注意です.こんな時,睡眠を深くするコツを伝授いたします.
(1)早い時間に夕ご飯をすませること,
(2)夕ご飯を少なめに,もうちょっと食べたいな~,ぐらいで止めてみましょう.
きっと,熟睡できるようになりますよ.
この季節,入学,入社,人事異動などで新しい社会環境に入り立ての方は,今までの自分のスタイルをそのまま継続できなかったり,思い通りに行かなかったりすることが多くなるものです.徐々にストレスが溜まり,体にも異変が出てきやすくなります.最近,クリニックで「はやりの?」ストレス症状は,「肋骨の下の張るような痛み」です.胃薬を飲んでも良くならないような上腹部痛では,よくこの症状を呈している方がいます.西洋医学的には,この症状を説明できるような物理的な病気は,存在せず,もちろん,レントゲンや血液検査,内視鏡検査,はたまたCT検査までやってもらっても,何にも見つかりませんので,「西洋医学的」には,「正常」と診断されてしまいます.「東洋医学的」には,この状態を「胸脇苦満(きょうきょうくまん)」と命名していて,しっかりとした,ストレス反応の所見と捉えます.なぜ,この場所に症状がでてくるかというと,経絡(血管のようなもの)というものの存在を東洋医学では考えており,この場所をそのストレス時に反応する経絡がここを通っていると,考えられているからです.実際に,この症状があるかないかで,ストレスのかかり具合がある程度わかるため,これに直結した治療も「東洋医学的」には,可能となります.