以前より診察していて,患者さんの症状により,私が気づかされたことがあります。「調子が悪い」といって,私の外来にいらっしゃる方の2/3は,お腹にガスが溜まっているのです。初めは,「単なるガスのたまり」としか考えていなかったのですが,どうも,この「ガスの溜まり」が,いろいろな症状を起こしてくるようです。その1つにアトピーもあります。お腹の中の「悪玉腸内細菌」や「かび」の異常発酵により,発生してくるガスのようで,漢方治療で腸内細菌のコンロトールをしてあげると,徐々に症状がよくなってくるのです。悪玉菌やかびが分泌する毒素が,どうもわるさをしているようで,この毒素により,アトピーのようなアレルギー反応や喘息,慢性鼻炎などが引き起こされてきます。また,この毒素は,交感神経の緊張も引き起こしてくるため,自律神経症状が次々とでてくるようです。この考え方は,すでにアメリカで「イーストコネクション」と云われている,1980年代に発表されたものであることが,最近わかりました。この,毒素の発生源である「悪玉腸内細菌」や「かび」の餌が,甘味,フルーツ,酒となります。
アトピーの治療は,摂取する物で劇的に改善してきますので,ぜひ薬のみに頼らず,自分で克服するよう努力してみてくださいね。
先日,アトピーの治療を漢方で行っている患者さんで,だいぶ改善されてきたなー,と安心していたら,突然,急激に,「じくじく」した症状が悪化してきたといって,患者さんが,再来されました。よく聞いてみると,学校で,プールが始まってから,悪化したとのこと。皮膚も,アトピーの皮膚炎にしては,炎症所見が強すぎ,どうも,細菌感染を併発しているような様子でしたので,抗生剤を飲んでいただいたところ,急激に改善してきました。
やはり,プールで感染を起こしたようです。アトピーをお持ちの患者さんでプールや海で過ごされた後は,よくシャワーを行って下さい。いつもと違って,症状が急激に悪化する場合には,細菌感染している可能性もありますので,いつものかかりつけの先生に,すぐに,御相談して下さい。「すぐに」という意味は,細菌感染では,症状が急激に悪化し,重症化する場合が多いためです。ご注意ください。
「小児の冷え症なんて,いるのかしら?」と思う方も,いらっしゃると思います,実際,患者さんを診ていると,最近,子供の冷え症が多いのが,気になります.家でテレビゲームばかりしていて,外で遊ばないのが原因かもしれませんが,もう少し,違った原因もありそうです.現代医学の発達により,相当な低体重児の方でも,なんとか生きていけるようになってきました.私たちの体は,お母さんのお腹から出てくるとき,「体重」というエネルギーを授かります.これは,東洋医学的には先天のエネルギーと考えられ,「腎」という「エネルギータンク」に蓄えられています.低体重で生まれてきた方は,このエネルギーが極端に低いため,体を温める事ができません.人間の体は,全て酵素反応により動いているので,温度が低いと,全ての機能が低下状態となります.消化吸収能力も低く,食べても,吸収する力がないため,いつまでも痩せて,なかなか太れません.免疫機能も低いため,すぐに感染を起こしやすいのですが,ウイルスや細菌を排除するための発熱能力も体温が低いために,あまり発熱せず,このため,病原体を速やかに排除できずに,だらだらと感染状態が続きます.また,最近,天候が異常気象で,温かくなったり,寒くなったりが,突然おきてくる状態がままあります.このような,外気の温度変化は,体温が低い方には,非常なストレスとなります.このまま,大人になると,本人はとても,社会に出てから,苦労するはめになります.ぜひ,子供の内に,体の体温を上げる術を身につけさせてください.
頻尿は年配の方だけの問題だけではありません.30-40代で,すでに頻尿になられている方,そんなに忙しくはないけど,夜中に何回かおしっこに起きる方,「ちょっと,ちょっと」,体に問題が起きているはずです.
良くあるのは,体の冷えで,症状がでてくるものです.あまり動かない仕事で,ひたすらコーヒーばかり飲んでいると冷えてきます.頻尿になったら,よくテレビの宣伝でやっている,あの「○○ケア」でもよいですが,ちょっとまってください.頻尿になるには,なるだけの理由がちゃんとあるのです.とりあえず,冷やすものの摂取をやめるだけでも効果がでてきますよ.寢る前のビールもよく冷えます.冷えてくると,腰まで痛くなってきたり,肩こりも起ってきます.おまけに,血圧は上がるし,しまいには,眠りが浅くなるので,昼間眠くてしかたがない,状態になってきます.昼食を食べた後に眠たくなるのも,夜の睡眠が淺く,充分な睡眠が取れていないためです.
先日,ある患者さんが,夜におしっこに起きて眠れないと,私のクリニックを訪ねて来られました.拝見させていただくと,やっぱり,冷え冷えの状態だったので,温める漢方薬を処方させて頂きました.この方は,見事に,瞬時に効果有り(いつもは,こんなに早く,こうもいかないのですが...),翌日には,何回も夜中に行っていたおしっこが,1回のみだったと,喜んでおられました.やっぱり冷えるのはよくないですね.
先日,不妊症の患者さんで,冷え症からくる高温期不調が原因で,なかなかお子さんができない方がいらっしゃいました。もちろん,産科の先生にも診ていただいているようでしたが,うまくいかないとのことでした。1ヶ月ほど,漢方を飲んでいただき,高温期がちゃんと14日間程度続くようになったとの報告後,すぐに妊娠されました。冷え症は,やはり,いろいろな病態に絡んでくるなー,とつくづく考えさせられました。西洋医学的に考えても,私たちの生体の生理機能は,すべて酵素反応で成り立っていますから,酵素がちゃんと働くためには,ある程度の温度が必要となってくるのは,理解できることです。これから,だんだん暑い日が多くなってきます。クーラーや,冷たい飲料水,体が冷えるコーヒー,緑茶,ウーロン茶,青汁,麦茶,牛乳の取りすぎには,くれぐれも気をつけてくださいね。
冷え症の方の便秘は,通常の便秘薬で対応しようとすると,お腹が痛くなったり,よけいに冷えるようになってしまうため,市販の便秘薬で対応することは,避けてください。通常の便秘薬は,体を冷やす働きが強いため,それを冷え症の方が使用すると,さらに冷え,お腹が動かなくなり,便秘となりますので,こんなときには,ひたすら,お腹を温めるのみです。飲み物でも,冷える物がほとんどですので,紅茶や番茶などを多用し,コーヒー,緑茶は避けるようにしましょう。生姜と焼きネギは体を温めますので,おすすめです。生薬の入浴剤も効果があります。当院でも少し用意したいと思います。ご希望の方は,お申し出ください。
この4月より介護保険の審査委員をやっています.審査では,もちろん,介護保険を申請した方の名前や,担当医師の箇所は匿名扱いとなっていて,誰の申請を審査しているか,わからないようになっています.さて,この申請書は,1週間で35件から40件ぐらい審査していくのですが,申請書の記載を読んでみると,腰痛や下肢の関節痛により,動けなくなってしまっている患者さんがたくさんいらっしゃいます.多くの場合,ご高齢の方の腰痛は,ほとんど冷え症から来ることが多く,単に,「温めてあげる」だけで,かなり改善するものがでてきます.これにより,歩行もスムーズとなり,ご自分で動ける範囲が広がってきます.温めて痛みを取る治療は,東洋医学では得意中の得意の領域ですが,西洋医学では,治療に温めて,痛みを止める方法は,理学療法しかなく,温湿布も唯一ありますが,これも皮膚への刺激性が強いため,すくかぶれてしまい,長期間使用することができません.腰痛でお困りの方は,ぜひ一度,御相談ください.東洋医学的な治療を,西洋医学的な治療に併用していただくことで,完全には腰痛はなくならないと思いますが,かなりの程度,症状をコントロールすることが可能となると思います.
いわゆるアレルギー性のご病気を持っていらっしゃる方が,徐々に増えていますが,実際,原因はなんなのでしょうか?アレルゲンが増えたためでしょうか?たぶん,杉並木は,昔からあったし,イエダニなんて,江戸時代には,今よりも,いたかもしれません.毎日診療していると,原因を推測することがままあります.いくつか原因と思われるものがありますが,今日は,食べのもについて書いてみたいと思います.一言でいうと,「甘味・フルーツ・飲酒」の取りすぎが,アレルギー性疾患を誘発しているようです.患者さんを診察してみると,体の所々に,そのサインが見受けられます.2週間程度,これらを止めていただくと,あら,不思議,いろいろ薬を飲んでいたのに善くならなかったのが,ちょっと善くなってきてしまいます.とりあえず,お困りの方は,一度,お試しあれ.詳しくは,クリニックでご説明いたします.ご興味の方は,一度,クリニックにお立ち寄り下さい.
冷え症の方で風邪をひいたときは,通常は,あまり発熱しませんが,たまに,抗原性の強いウイルスでは,高熱のでることもあります。このときに,解熱剤を使用すると,ウイルスが増殖するように働くため,その後の経過が悪化傾向となります。
市販薬のほとんどは,解熱鎮痛剤が配合されているため,冷え症の方は,市販薬は,あまり使用されないよう気をつけてください。忙しくて近くのクリニックに行けないときには,とりあえず,葛根湯(会社はどこでもOKです!)でしのいで頂き,改善しないようであれば,クリニックを受診してください。でも,本当は,早く来て頂いた方が,早く治癒に持ち込めるのですが。。。漢方治療は冷え症の方には,非常に強力な風邪の治療を行うことが可能です。風邪の病気の段階がいくつかあるため,その段階に合わせた薬の選択が必要となります。以前にもらった風邪の薬があるから,といって,同じ薬でうまくいかないこともあります。そのような時には,以前にかかって,その薬を処方して頂いた先生に電話して,飮んでいいかどうか,必ず,確認を取りましょう。